トマトは、根付いたら5、6月にかけてぐんぐん育っていきます。この時期に、不要な芽をとる「芽かき」と、実ができるのを促す「着果促進」を行いましょう。これらは大きな実をつけたり、病気を予防しながらきれいに育てるのに欠かせない作業です。
芽かきとは?
写真のように、茎と葉の付け根の部分から出てきた新しい芽を、わき芽といいます。わき芽をそのままにしておくと、芽が生長することに養分が使われてしまいます。一つひとつの実を大きく生長させるためには、余分なわき芽を取り除くようにしましょう。この作業を「芽かき」または「わき芽かき」といいます。
着果促進とは?
実がつくように受粉を促すことを着果促進といいます。花が2、3輪咲いてきたら行いましょう。イラストのように、最初に花がついた房を「第一花房」と呼びます。第一花房を受粉させないと、養分がうまく実にいかずに、葉や茎ばかりが生長してしまう「つるぼけ」という現象が起こってしまいます。
着果促進のやり方
着果促進の方法は、市販の着果促進剤(トマト専用のものがおすすめ)を花房全体にひと吹きするだけです。何度もかけると奇形果になってしまう場合があるので、「ひと吹き」を厳守してください。
追肥とは?
培養土の中には、もともと野菜が育つのに必要な栄養が含まれていますが、3週間ほどで使いきってしまいます。そのため、追加で栄養を与えていくことを「追肥」といいます。
化成肥料を10g、土の表面全体にまきましょう。最初の1回は、苗を植えてから2~3週間後を目安に。以後、2週間ごとに1回を目安に行っていきましょう。
その際に、苗が倒れないように、軽く「土寄せ(土を根元に集める)」をすることも忘れずに。
今回紹介した「芽かき」「着果促進」「追肥」の作業は、収穫まで定期的に行います。その手間がトマトのおいしさや収穫量に大きく影響していきますので、生長を見守りながら、丁寧にやっていきましょう。
藤田 智
1959年秋田県湯沢市生まれ。宮澤賢治に憧れ、岩手大学農学部に入学し、同大学院修了。向中野学園高校教員、恵泉女学園園芸短期大学助教授を経て、現職。専門は、園芸学、野菜園芸学。野菜栽培に関連する著書は160冊を超え、「NHK 趣味の園芸 やさいの時間」や日本テレビ「世界一受けたい授業」などのTVにも多数出演する。家庭菜園や市民農園の指導、普及活動を通じて、野菜づくりの楽しさを広げる取り組みを行っている。
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