食の世界遺産「味の箱船」とは
「スローフード」とは、食とそれを取り巻くシステムをより良いものにするための世界的な草の根運動で、1989 年にイタリアで始まりました。「味の箱船」は、各地方の伝統的かつ固有な在来品種や加工食品を世界共通のガイドラインで選定し、さまざまな支援策によってその生産や消費を守り、地域における食の多様性を守ろうという取り組みです。世界で5000以上、日本では74の動物、果物、野菜の品種と加工食品などが登録されています。
日本で「味の箱船」に登録されている主な野菜
2020、2021年に登録された食品から5種類の野菜を紹介します。
●種蔵紅かぶ
・生産地:岐阜県
・主な調理方法:漬物
飛騨市宮川町種蔵(旧吉城郡宮川村)で古くから自家採取されてきました。昔ながらの円錐状の形と特徴的なコリコリとした食感を引き継いでおり、種蔵紅かぶを栽培している周辺では他種のかぶを栽培しないなど、種の保存に力をいれています。
●伊勢いも
・生産地:三重県
・主な調理方法:すりおろしたり、揚げたりして食べる
山芋の一種ですが、大和芋(関東ではつくねいもと呼ばれています)という形が球状のグループに属し、凸凹が多く、表皮は白いのが特徴です。皮をむいてすりおろすと真っ白で粘りが強く、味はくせがなく、クリーミーなコクがあります。
●内藤とうがらし
・生産地:東京都
・主な調理方法:加工品
江戸時代に内藤新宿で生産されていたとうがらしを復活させたもので、2013年、JA東京中央会の「伝統の江戸東京野菜」に登録。品種は八房種で、辛さは鷹の爪の半分程度と言われますが、香り、旨み、コク、風味があります。
●チデークニ
・生産地:沖縄県
・主な調理方法:煮物や汁物など
30cmほどの長さの細長い黄色いにんじんで、暑さに強く、湿度を好むため、沖縄の気候が栽培に適していると言われています。風味豊かで、炒め物、汁物、サラダなど、さまざまな料理に適しています。
●土気からし菜
・生産地:千葉県
・主な調理方法:漬物など
300年以上前から、千葉市土気地区の農家が代々自家採種によって栽培を続けてきたと言われています。寒暖差の激しい土地で育つため辛さと風味に特徴があります。食べ方は、辛みを活かした漬物が定番。また、種子は和からしの原材料にもなります。
最後に
日本各地で伝統的に食べられてきた野菜を、料理に取り入れてみてください。