年々家庭菜園の人気は高まり、誰でも気軽に農業を楽しめる市民農園の数は20年前から増え続けています。とはいえ、「自分で作った野菜を食べたい」「家庭菜園を始めたい」と思っていても、「畑を持つのは大変そう…」と感じる人も多いのでは?しかし、家庭菜園はプランターを置くスペースさえあれば、自宅でも始められます!とくに、4、5月頃に苗を植えると夏に収穫できるトマトは、手軽に育てられると人気の野菜です。
その中でも、食べごたえがあり、育てやすい中型トマト栽培の事前の準備と苗を植えるまでをご紹介。必要なものはホームセンターでひととおり揃います。最低気温が12、13℃以上になり、暖かくなってきたら、トマトの苗を植える準備を始めましょう。
用意するもの
- トマトの苗
- プランター
- 野菜用培養土
- 鉢底石
- じょうろ
- 移植ごて(小型の園芸用シャベル)
- 支柱(直径2cm、長さ2m)
- 麻ひも(ビニールひも、ビニールタイなどでも可)
プランターの土台づくり
トマトの植付けをする日は、晴れた風の弱い日がおすすめです。まずは苗を植えるプランターの準備から始めましょう。
- プランターは事前にきれいに洗っておく。
- 鉢底石をプランターの底が見えなくなるくらいまで入れる。
- 野菜用養殖土を入れる。
プランターの土台づくり
プランターの準備ができたら苗を植えていきましょう。
- プランターに植付ける2時間前くらいに苗にたっぷりと水やりする。こうすることで、苗が簡易のビニール容器から抜けやすくなる。
- プランターの中心に、苗の根鉢(根と土がかたまりになったもの/写真)が入るくらいのくぼみを作る。
- 苗を容器ごと軽くひっくり返して、根鉢を崩さないように取り出す。苗を無理に引っぱると茎が折れたり、根が切れたりして、その後の生育が大幅に遅れたり、植付けしにくくなるので注意。
- 根鉢が土の中にすっぽり入るように植付けたら、苗が倒れないように土寄せ(根元に土を寄せかけること)し、軽く押さえる。
- 植付け後は根を土になじませるため、たっぷりと水をやる。
植付けが終わったら支柱立て&誘引を
苗を植えたら、生長して折れたり倒れたりしないように、苗のそばに支柱を立てます。さらに、支柱と茎を麻ひもなどで結びつけていきましょう。この作業を誘引といいます。今後も生長にあわせて1週間に1回程度、伸びた茎を追加で誘引するようにしましょう。
《手順》
- 苗から10cmのところに支柱をしっかりと差し込み、立てる。
- 茎に麻ひもをかけて、支柱との間で8の字形になるように2~3回ゆるく交差させる(下の写真1枚目)。
- ひもを支柱に回してしっかり固定し、結ぶ(下の写真2枚目)。
水やりは午前中に
苗を植えた後は毎日1回、トマトが光合成を始める午前中のなるべく早い時間にたっぷり水を与えましょう。1週間ほどで苗が土に根づき、その後どんどん生長していきます。
また、梅雨が明けたころから、土が乾きやすくなります。土の状態によっては、昼すぎにももう一度水やりを行うようにしましょう。
過度な水やりは、土の中の肥料の流出、根腐れの原因になります。土の状態を見ながら、水やりを行っていきましょう。
藤田 智
1959年秋田県湯沢市生まれ。宮澤賢治に憧れ、岩手大学農学部に入学し、同大学院修了。向中野学園高校教員、恵泉女学園園芸短期大学助教授を経て、現職。専門は、園芸学、野菜園芸学。野菜栽培に関連する著書は160冊を超え、「NHK 趣味の園芸 やさいの時間」や日本テレビ「世界一受けたい授業」などのTVにも多数出演する。家庭菜園や市民農園の指導、普及活動を通じて、野菜づくりの楽しさを広げる取り組みを行っている。
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